5日間18きっぷ日本縦断の旅

青春18きっぷ

NHKで「最長片道きっぷ12000キロの旅」が放映された。
ルート沿線の表情を伝えている興味深い番組であった。
最長片道きっぷにかぎらず、日本をテーマにした鉄道旅行はファンなら誰でも憧れるもの。
ここでは、自分が実施した「日本縦断」を、
今では困難になった青春18きっぷで実施した稚内発枕崎行きの思い出を今ここに…

その時使った時刻表
このコーナーを作るにあたって久々に紐解いた、あの時「虎の巻」として使った時刻表

注)この旅行1ヶ月後に長野新幹線あさま開業、なので在来線はほぼ健在状態
「ムーンライトながら」と臨時大垣夜行が東海道線の主力だった頃。

プロローグ1

それは…新宿のゲーセンからはじまった…
歌舞伎町にあった今はなきゲームメーカー直営のゲーセンで 「電車でGO!」の他人のプレーを観覧。 帰るとその時にバックの中身がこぼれた… これはもしや…スラれた。 このときは財布をバックに入れることにしていたため、 チャックを開けて財布をすられたのである。 ツイてないことに振り込む予定の家賃も財布に入れていたため 被害額は6万円強… しかたがないので、日本縦断旅行のために積み立てておいた貯金を崩し 家賃に充てることに。 せっかく日本縦断に備えバイト辞めたってのに… ちなみにこれ以来財布はポケットに入れることにしている。

それでもあきらめきれず、短期バイトも見つかったことで 当初からの計画(トワイライトやのぞみに乗るゴージャスな日本縦断)を変更し、 18きっぷで行く日本縦断の計画を立てる。 1枚5回分で北海道:稚内から鹿児島:枕崎まで行けることがわかったので、 「ミッドナイト」や「ムーンライトながら」など必要な夜行列車や宿を手配し、 その日を待つ。

プロローグ2

いわき駅前から空港リムジンバスに乗り福島空港へ。 予約ができないスカイメイトなので空席があるか心配しつつ 千歳経由で稚内までのチケットを購入。
えーと…え?…ちょうど2万円になります
このころはバーゲン運賃などなく前売りでも一番安くて50%引き。 なのでぴったり運賃を窓口でも信じることができなかったのか 電卓で再計算していた。 今考えると、この「ちょうど2万円」という金額が この旅を物語っていたのかもしれない…

全日空391福島9:00札幌千歳10:15
エアーニッポン497札幌千歳11:45稚内12:35

福島を発った飛行機は定刻通り千歳につき、1日1本という千歳発の稚内行きに 無事接続できた。稚内空港に到着後、バス停まで歩き、1日3往復のバスを待つ。 宗谷岬までのバスまで30分くらい…頭上を飛行機が飛ぶ。 休みの教習場以外は草原が広がる…北海道らしい景色で飽きることはなかった。 やっときたバスに乗り込み、宗谷岬へ。 日本最北端の地にて今回の旅の成功を祈り、すぐ折り返すバスで戻った。 稚内のホテルで休み、明日の列車を待った…

最北端の宗谷峠にて

1日目 稚内からミッドナイト

普通4326D稚内6:41名寄9:58
快速なよろ6号3324D名寄10:00旭川11:23
快速いしかりライナー3250M旭川13:37札幌16:14
快速ミッドナイト3980D札幌23:36函館6:30

(乗車時間12:10 乗車営業キロ714.9 58.7営業キロ/乗車1時間)

初日はとりあえず北海道をひたすら南に向かう。札幌から今はなき快速ミッドナイトに乗り込めば目的は達成。

稚内−名寄
稚内の1番列車に乗り込む。18きっぷに初めて改札印を押してもらう。 18きっぷじゃ味気ないのでダミーの「稚内→枕崎」のきっぷにもお願いしたら 快く押してくれた。出だし好調!
名寄−旭川
名寄で前年に廃止された深名線の跡を見ることなく、快速の椅子を狙うも失敗… 途中まで立つ。 旭川で列車を待ってる間に旭川ラーメンを食べ、昼飯とした。
旭川−札幌
札幌に到着後、苗穂まで折り返す。大学仲間と恒例となった サッポロビール園でのジンギスカンパーティー。 美味しいビールと美味しいジンギスカンで楽しいひととき。 そのあと札幌駅でみんなと別れ、一人寂しく南を目指す。
札幌−函館
今は無きミッドナイトはカーペット車を指定しているが、 壁際が寝やすい自分は早めにミッドナイトを待ち希望場所を確保。 しかし発車間際に来たカップルが、2人分一緒のスペースがないということで困っていた。 自分の隣の場所が空いていたので、 「譲らないで睡眠を確保するよりは譲ってお互いしこりのない旅のほうがいい」 ということで別の空いてるスペースに移動して2人分のスペースを譲った。 これがこの旅のターニングポイントになろうとは3人とも思っていなかったであろう…

1日目降車駅

2日目 函館から仙台

快速海峡2号3122函館7:48青森10:19
普通574M青森13:11八戸14:53
普通338M八戸15:42盛岡17:35
普通1550M盛岡18:00一ノ関19:33
普通548M一ノ関19:56仙台21:33
(乗車時間9:16 乗車営業キロ547.8 59.1営業キロ/乗車1時間)

この日はどうがんばってもいわきにはたどり着けないので宿を確保してある仙台にたどり着くのがノルマ。本州に入ったら普通列車しかないのが辛い…

函館−青森
明けて到着した函館で朝一をざっと見回し、海峡のカーペットカーに座る。横にもなれず、狭いスペースで座る。ミッドナイトから流れた客ばかりで大混雑。腰はかけられたものの、 睡眠不足を補完するには至らなかった…
青森−八戸
青森駅構内でミッドナイトでであったカップルと遭遇。 聞けば海峡は座席車に乗っていて、これから「いなほ」でワープしてえちごを目指すそうなので互いの旅の無事を祈りつつ別れた…もうこれで会わないだろうと3人ともそう思っていた、いや普通はそう思うはずだ。その後仙台まで東北本線の701系にゆっくりゆられた…
八戸−盛岡−一ノ関−仙台
八戸で接続待ちのついでに駅の外に出て食べ物やトイレとかすます。 このときは田舎駅だったのに今は新幹線が通る立派な駅になって…
その後接続時間の関係で停車駅で何もできず、仙台からタクシーでメルパルクに向かい、宿泊。

2日目降車駅

3日目 仙台から常磐線経由ムーンライトながら

普通232M仙台9:15原ノ町10:28
普通684M原ノ町10:50いわき12:04
普通646Mいわき13:13土浦15:33
普通2426M土浦15:36上野16:49
快速ムーンライトながら375M東京23:43
横浜
0:11
(乗車時間6:35 乗車営業キロ395.3 60.1営業キロ/乗車1時間)

この日もムーンライトながらに乗れればいいので比較的ゆっくり…というかまるまる1日常磐線ですね。

仙台−原ノ町−いわき−土浦−上野
常磐線まわりにしたのは701対策ではなく、日本縦断ルートにどうしても地元いわきを絡めたかっただけです、いやほんと。 乗る慣れてる常磐線とはいえ普通列車での全線乗車は新鮮みがありました。 上野到着後、東海道線で一旦平塚に出て下宿に戻り、シャワーを浴びながら荷物を軽くして身支度を整える。 その後小田急で本厚木からロマンスカーに乗って東京を目指し、373系に腰をすえる。 「函館→稚内」のダミーきっぷに気づいた人が「がんばってください」と 声かけてくれたのはうれしかった。

3日目降車駅

4日目 ムーンライトながらから熊本

快速ムーンライトながら375M
横浜
0:11大垣6:51
普通735M大垣7:02米原7:39
新快速3613M米原8:19姫路10:46
普通1415M姫路11:04岡山12:25
快速1357M岡山12:43広島15:13
普通669M広島15:26下関19:29
普通267M下関19:45門司19:51
快速3347M門司19:57大牟田22:46
普通359M大牟田22:57熊本23:58
(乗車時間20:34 乗車営業キロ1265.5 61.5営業キロ/乗車1時間)

太平洋ベルトを端から端でまる一日で渡りきった。そしてこの旅の最大のヤマ場ともなった…

東京−大垣
朝日を浴びた373系は中京を快走して、大垣に着いた。 ムーンライトながらに変わってだいぶ経つので慣れたことや 長旅で疲れもたまってることもあって、よく眠れた。
大垣−米原−姫路−岡山
大垣からはさすがに座れなかったが、米原から新快速に乗るので 短時間の我慢で済んだ。 当時221系全盛期の新快速は米原から姫路まで快走!途中神戸で目覚めたものの 快適に寝てました。 いつもなら京都や大阪で降りるのだが、新快速で乗り通して兵庫に入るのは初めて。 神戸で目が覚めた。震災の傷も消えつつあり元気な神戸を見ることができた。
姫路から乗り換えた列車もやっぱり混雑していたが、なんとか座れた。
岡山−広島−下関
そして岡山で運命のいたずらに…なんとミッドナイトで出会ったカップルと再会することに… 同じムーンライトながらで移動していたみたいだが、岡山で同じ車両の行列に並んでいたことで再会を成す。 いい感じのカップルだったのでお邪魔することにした。 聞けば、青森からもルートは違えど、目的は同じ北海道から九州まで。 ただしお二人は彼氏の実家がある長崎が目的地だそうで。 ただ、このままでは肥前山口までしか行けないため 一緒にワープ手段を考えた… 結局、小郡から小倉まで新幹線に乗ることで話がまとまった。 あとは旅の思い出、簡単な鉄道の話など、疲れを忘れて盛り上がった… 広島で乗り換えた列車は、あっという間に小郡に到着。 今度こそカップルと別れた…偶然が生み出した楽しい時間を惜しみながら。
下関−門司−大牟田−熊本
ふたたび一人になった自分は関門トンネルをくぐり九州初上陸。 小倉からの快速列車でゆったり乗車し、大牟田で乗り換える。 熊本でやっと電車が途切れ、駅で寝ることに。 駅寝は初めてだったので不安だったが、 同志が多かったため、安心して寝ることが出来た。 しかし、見回りに来たおまわりさんが駅舎内にいた人たちに声をかけていたが 寝ていたとはいえ自分がスルーなのは何か悔しい…

4日目降車駅

5日目 熊本から終点稚内へ

普通6321M熊本6:36水俣8:06
普通2429M水俣8:22西鹿児島11:14
快速なのはな3345D西鹿児島12:12指宿13:02
普通5325D指宿13:05枕崎14:15
(乗車時間6:22 乗車営業キロ286.6 45.0営業キロ/乗車1時間)

さあラストスパート!ただひたすら南を目指すのみ!

熊本−水俣−西鹿児島
明けて、トイレの洗面台で簡単に身支度を整え、水俣・西鹿児島を目指す。 気がつかないうちに最初で最後の八代以南鹿児島本線になってしまった。 最初で最後の西鹿児島で一息ついたあと、最後の路線:指宿枕崎線に乗る。
西鹿児島−指宿−枕崎
快速なのはなは新車で乗り心地がよかった。指宿で枕崎行きに最後の乗り換え。 JR最南端の西大山駅を列車内から眺める。予定が狂うため降りられなかったが、これでJR日本縦断を達成!

西大山駅

西大山を過ぎると、雲行きがあやしくなりだし、やがて雷雨に… そんな中、枕崎に到着!…でも駅は無人駅(駅舎はバス会社が運営)。 ダミーきっぷに到着証明をもらおうと、乗ってきた列車の運転士(ワンマンなので)に サインをお願いし、書いてもらった。こうして日本縦断の旅はあっけないフィナーレを迎えたのであった…

5日目降車駅

エピローグ

その後は枕崎からまっすぐ空港に向かい、飛行機で羽田まで乗った。 さっきまで2日間かけてやってきた行程を飛行機は所定1:20で結んでしまう… 羽田から平塚の下宿に戻り泊まってからいわきに帰った。 普通列車も高速化されたとはいえ特急の速さには乗り慣れたスーパーひたちでも差を感じてしまう… かといって、この差は自分にとって無駄になったわけではない。 正直、達成感よりもミッドナイトから小郡までのカップルとの遭遇のほうが印象深い旅になったわけだが、それも普通列車だから成しえた結果といえよう。 移動の楽しさより、人との出会いが楽しい…それを実感した、思い出に残る旅となった。

総乗車時間…54時間57分
総乗車営業キロ…3210.1キロ(実乗車経路にて計算・地方交通線も営業キロにて算出)
この行程での乗車中の表定時速…58.4キロ

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